私たちの国際交流(38)を掲載しました。

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習慣を知って

数十年前社会人になってから、海外へ観光に出かけるようになりました。その時々の同行者に自由旅行を希望し、できる限り自分たちの目と耳と口を使って回りました。満足な外国語も話せず行動するため、現地の方から多くの助けや好意を受けることになり、今までの旅を何ごともなく楽しい思い出にできたのも、彼らのお陰だと感謝の気持ちが湧いてきます。

地元の人と交わすカタコト言葉やジェスチャーを通して、その国の習慣を教えてもらうこともありました。そんな中、逆に自国の習慣に改めて気づかされる出来事があり、強く印象に残っています。

フランスの田舎町での食事中、私は近くのテーブルの男性客から、しばしば注視されているのを感じていました。食事のあと席を立った際、彼が真顔でぎこちない会釈をしてきたので礼儀として返したところ、「なぜ頭を下げるのか?」と質問されたのです。彼は、給仕のたびに私たちがウェイターにする会釈の動きとタイミングを観察し、真似をして試したようでした。得意の『カタコト英語』で、「働きへのお礼や、尊敬を伝えている」ぐらいにしか説明できなかったのですが、自分たちがしている無意識の軽い感謝の習慣が、「不思議な行動」として実際に西洋人の目を引いていたことに驚きました。同時に、会釈とは日本人の本質の詰まった行為だなと改めて感じたのを覚えています。

習慣の中にはそれぞれの国の歴史や、その国の人たちの気質や性格が隠れているように思います。関わることができる外国の方から、それぞれの国の習慣・慣習などを聞かせてもらい、違いを楽しみつつ理解を深め、お互いに尊重し合える交流を目指していきたいと考えています。

西之保 浅野 明子