国際交流ボランティアで思うこと

残暑のなかった今年の夏、久しぶりに訪れた抜けるような青空をみると、穏やかで、人は皆平和な時を過ごしていると思ってしまうのです。でも、明日もまた同じ日がむかえられる確証は無いのです。突然襲ってくる天災、身をむしばむ病の発覚、交通事故、不満だらけの政策にもかかわらず、優しい虫の音をきき、明日もまたくるはずの幸せを信じられる私たちは、何と平和なのでしょう。一週間、一か月、一年の速さをつくづく感じ、何かしなければ残りの人生が見えてきたと思った頃に出会ったのが、「社会人日本語教室」でした。

最近の若者の言葉の乱れ、辞書をも覆しそうな不可解な言葉。日本語は、健在でしょうか。通って来るのは主にアジア圏の人たちで、笑顔が人懐こく、一日働いて疲れているにもかかわらず、大きな声で「こんばんは。」と挨拶する彼らに、「おもしろくない日本語」と思わせてはならない、と思うのです。それにはまず自分がその身になってみようと、英会話教室に入ってみました。他国語を学ぶ時、何が一番難しいと感じるのか、どの方法が一番理解できるのか。4年たって何の進歩も無い私に比べ、この難しい日本語を働きながら学び、一週間毎に上達している彼らに驚き、私も一緒に学び直す毎日です。美しい日本語を覚えてもらい、母国の事、家族の事、友達、趣味、尽きぬ会話で、楽しい生活を送ってくれる事を願っています。

ハワイでは、お年寄りが亡くなると、図書館がひとつ消えた、といいます。豊かな知識と多くの経験を持つ人生の先輩を、こう称えるのです。今年もはや後半となり、私は何を学べたでしょうか。私もこのように日々を歩めたら、幸せだと思います。柿の葉が、秋の日差しでやわらかな影を落としています。明日もまた穏やかな日が訪れますように。

霞 多希子

私たちの国際交流18

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